梨園=歌舞伎界では、昔から役者が妻帯者であるにも関わらず、女性と浮気をする事を「芸の肥やし」として暗黙の了解として捉えられています。もちろんその事について是か非かという話をするつもりはありません。ただ最近は社会一般が不倫や浮気に対して、非常に厳しい時代となってきており、芸の肥やしとして女性との浮気・不倫が本当に意味があるのかについて、少し考えていきましょう。
端的な理由の一つにはモテるという事もあるでしょう。歌舞伎役者の方々は端正な顔立ちである方も多い事もありますし、常に人に見られる事に高い意識を持っており、服装や立ち振る舞いについても、洗練されている方が多いのです。その為、女性から見ても非常に魅力的であり、たとえ結婚していても恋の対象となってしまうのでしょう。
またモテるという事に近い事ではありますが、歌舞伎役者の方は小さなころから修行をされて、鍛錬を積んでおり、年を重ねるごとに役者として、人として色気がある方が非常に多いのです。一般の人が色気を出すというのはなかなか難しい事ではありますが、和服の立ち振る舞いや指先まで神経を張り巡らせた所作は男性から見ても美しいものです。となれば、この歌舞伎役者の方々が望まなくとも周りの女性が集まってきてしまうのはある意味では仕方がない事なのかもしれません。
梨園においては跡継ぎとなる男子はまさに英才教育を受けて、大事に大事に育てられます。しかし反面、女の子は表に出ず陰で支える役割を求められるそうです。もちろん現代の時代背景にはあわない側面もありますが、長きの伝統において、その棲み分けが今なお残っているようです。そこに周りの諸先輩方が浮名を流しているのを早い段階から見ている事もあり、浮気をするのは芸の肥やしであり、ある意味では当たり前な感覚を持ってしまっている事も浮気が多くなる一因と言えるかもしれません。
もちろん歌舞伎役者の方々がモテる事は間違いないのですが、それ以上に役者として多くの経験や色恋を体験する事で演技に幅が出るという考えも根強く残っているのかもしれません。ただ梨園の家に嫁ぐというのは、一般の方の想像を遥かに超える程大変だというのは有名な話ですから、奥様を少し労わってあげるというのも大事なのではないでしょうか。