一昔前は女性から夫婦の性生活を求めるなんてはしたないという様な風潮がありましたが、今はそんな事を言っている時代ではありませんし、そんなのは男尊女卑以外の何物でもありません。男性にも性欲があるように、女性にも当たり前の様に性欲があります。それをお互いが満たすのも夫婦の役目とも言えるのです。しかし、今そんなセックスレスが離婚事由になるという事をご存知でしょうか?
まず厳密に言えば、法律ではセックスレスを離婚事由の一つとしてはいません。
民法770条の離婚事由はこの様に定められています。
「配偶者に不貞な行為があったとき」
「配偶者から悪意で遺棄されたとき」
「配偶者の生死が3年以上明らかではないとき」
「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」
「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」
ただ夫婦関係というものは難しいもので、法律の解釈だけではうまく裁けないもの、判断できないものがあるのです。
例えば、「配偶者に不貞な行為があったとき」という定義ではこれにより、一方が意図的に性生活を拒否しており、拒否された方が不倫をしてしまった場合は、元々はセックスレスが原因で不倫行為に走ってしまった訳ですが、民法上の定義では瑕疵は当然不倫をした側にあります。
ただ、この状況で不倫行為に走らず、一定期間我慢をしていた場合には、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」という定義から、離婚が認められる場合もあります。
これも裁判所や担当する弁護士さんの解釈にはよりますが、法律的な定義はされていないものの、各ケースの状況によっては、セックスレスが離婚の事由になる事もあるのです。
現にアーネット調査事務所が調査したケースでも約2年間セックスレスだったご夫婦の奥様が、ご主人の不倫を疑い調査の依頼に来られたケースがありました。
調査を行いましたが、全く不倫をしている形跡がなく、どちらかといえば家庭的で非常に家族を大事にされていました。
調査後にご夫婦で話し合った際には、以前の性生活の中で加齢により、ご主人が出来ないケースがあり、奥様は全く気にされていなかった様ですが、
ご主人がかなり神経質にその問題を捉えて、セックスを避ける様になってしまったとの事でした。
この時は話しあいで奥様が「愛されているか不安だった」と心の内をさらけ出した事で、ご主人との間にわだかまりが消えて、また素晴らしい夫婦関係に戻ったそうです。
これも当たり前のことですが、根底には当たり前の思いやりがあったのです。
アーネット調査事務所では、セックスレスも不倫事由になるんですよ!という事を声高に言いたいわけではありません。思いやりと少しの気遣いの言葉がパートナーの心に余裕を与え、関係がうまくいくようになるという事です。今セックスレスになっているご夫婦もそういったあたりを少し汲んで、優しい言葉で話し合いをしてみるのもいいかもしれません。