長いあいだ夫婦をやっていると、誰でも一度は相手に不満を抱き、中にはこの結婚は間違っていたのではないか、と疑問を抱く人もいることでしょう。しかし、結婚はれっきとした法律上の契約。
ちょっとくらいイライラしたり、趣味が違ったり、家事を手伝ってくれないからといって、簡単に離婚できるものではありません。本人同士が納得して別れるのなら別ですが、民法にはちゃんと「離婚事由」が定められています。
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もしも配偶者が貞操の義務を破って他の異性と体の関係を持ったら…。想像するだけで身震いしますが、実際にやられたら顔を見るのも、まして同じ屋根の下で生活するのもいやですよね。
民法でも、「不貞行為」は当然離婚事由に挙げられています。相手の不貞を疑ったら、メールや手つなぎ写真だけでなく、ラブホテルから出てくるなど体の関係があったと推定される証拠を掴んでおきましょう。
夫婦には、同居・協力・扶養の3つの義務があります。専業主婦の奥さんがまったく家事をしようとしない、旦那さんが生活費を入れない、どちらかが自宅に帰ってこないなど、相手方を悪意をもって「遺棄」する状態が続いている場合には、それだけで離婚事由になります。
この同居義務によると、旦那さんが浮気したから顔も見たくない!と勝手に別居をした場合、旦那さんから同居義務違反を指摘されて離婚を突きつけられる場合があるので要注意です。
旦那さんまたは奥さんが突然いなくなり、親族に連絡をとったり、警察に捜査願を出したりして探し回ったにもかかわらず見つからない。生死すら分からない…。
長年待つあいだには、相続など法律上の問題が起こったり、相手を探すことを諦めて再婚をしたいと思ったりすることもあるかもしれません。そうした人を救済するため、3年以上配偶者の生死が不明の場合には、離婚裁判をしたり失踪宣告をしてもらうことで離婚することができます。
配偶者が精神疾患にかかり、回復の見込みがないほど重症だったり、結婚の義務を果たせない状態になってしまった場合には、離婚が認められる場合があります。
上記4つに当てはまらない場合には、離婚の申し立てはできないのかといえば、もちろんそんなことはありません。例えば、最近増えている「モラハラ」や「DV」、「セックスレス」などはすべてこの「結婚を続けがたい重大な事由」に当てはまります。
上に挙げた4つの事由以外にも夫婦にはいろいろあるのだから、柔軟に対応しようというのが「結婚を続けがたい重大な事由」という感じです。この場合は、それぞれの夫婦の状況を裁判官が吟味して、離婚事由に相当かどうかを判断します。