「せんべえ」と「おかき」や、「ウインナー」と「ソーセージ」と同じく、「浮気」と「不倫」って似て非なる言葉ですよね。「ウインナー」と「ソーセージ」の違いは?と尋ねられたら、「ウインナー」は正式名称をウインナーソーセージといい、つまりは「ソーセージ」の一種であり、「ソーセージ」は総称である、というふうに答えることができますが、では「浮気」と「不倫」ってどう違うのか、答えられますか?
まず、それぞれの言葉の意味を辞書で引いてみましょう。辞書で【浮気】を引くと、「異性に心をひかれやすいこと。また、そのさま」「他の異性を(一時的に)愛すること」などとあります。この意味だけを見ると、一時的な気持ちの浮つきと捉えることができそうです。一方で、【不倫】とは「(異性関係において)道徳にはずれること」「男女がひそかに配偶者や恋人以外の異性と肉体関係を持つこと」とあります。【浮気】と違うのは、「肉体関係を持つこと」と明記してある点ですね。
上記の例でいうと、異性に心がひかれたら即座に浮気、という意味では、肉体関係を持つこととする「不倫」よりも、「浮気」のほうが認定範囲が広いといえます。認定基準は人によってさまざまですが、2人きりで食事に出かけたり、手をつないだり、中には親しそうに話しているだけでも浮気!と感じる人もいるほど、「浮気」は広義。一方の「不倫」は肉体関係を持つことなので、「浮気」の中の1つ、といえますね。
言葉の意味合いの違いに加えてもう1つ、「浮気」と「不倫」の使い分けは結婚しているか、していないかによるという見方は多いようです。婚姻を規定する民法第770条には「配偶者に不貞な行為があったとき」とありますが、この不貞行為とは肉体関係のことを指します。男女間の道徳に反するという意味でも、配偶者がいるのに他の男女と肉体関係を持つこと=不倫といえます。
このように、「浮気」の対象は結婚をしていなくてもカップルなら誰でも、パートナー以外の男女に恋愛感情を持ったり、手をつなぐ、2人きりで食事をするなど親密な関係をうかがわせる行為をすることと広く捉えられるのに対して、「不倫」は結婚している夫婦のどちらかが、パートナー以外と肉体関係を持つことをいいます。つまり、「不倫」は婚姻という契約に違反する行為であり、慰謝料請求の原因として認定されてしまう不法行為なのです。
以上、「浮気」と「不倫」の違いでした。どちらも相手を傷つけるという点では同じ。恋愛は自由ですが、相手の気持ちを慮ってほどほどに。