芸能人や政治家の不倫スキャンダルが相次いでいる2017年。この頃では「一線を越える」がキーワードのようにメディアで扱われていますが、実際に「一線を越える」=不貞行為としてみなされるのはどこからをいうのでしょうか。
不貞行為は、民法第770条第1項第1号によると「法定離婚事由」にあたるもので、一般的には「不倫」「浮気」と言い表されます。夫婦どうしが話し合って離婚を決める協議離婚が決裂し、離婚調停も不調に終わってしまった場合、離婚裁判を起こしたい時にはこの「法定離婚事由」が存在する必要があります。
法定離婚事由は民法第770条第1項第1号で定められており、不貞行為はこれに該当します。そして、不貞行為が存在すると認定された場合、民法上では「不法行為」と扱われ、慰謝料の請求が可能になります。
不貞行為=不倫、浮気といいますが、不倫や浮気の概念は個々によって違うものです。「キスをしたら一線を越えている」「手をつないだ時点でアウトでしょ!?」。それぞれが主張をしはじめたら、何をもって一線を越えたと断ずるかが曖昧になってしまいますよね。
ところが、民法の不貞行為を定めた条文には、どこからが不貞行為である、ということは明確に書かれていません。そこで登場するのが判例。これまでに不貞行為を認めた判例を紐解くと、一線を越えるとはすなわち「肉体関係を持つ」、ということになっています。
ですので、「交際を匂わせるメッセージを送り合っていた」「手をつないで歩いているのを見かけた」「キスをしていた」という証拠だけでは、それだけで不貞行為があったとは認められません。キスをしていただけでも立派な不倫では?と思わなくもないですが、「夫婦はお互いに貞操義務がある」という文言を思えば、確かに不貞行為とは体を許すことであると言えなくもないですね。
ただし、「濃密なキスをしている画像」に加え、「肉体関係を類推させるメッセージを交わしている」など、肉体関係そのものの証拠ではなくとも複数の証拠を合わせることで不貞行為が認められた、ということはあります。
つまり、たとえそれが不貞行為と断じることができる決定的な証拠ではなくとも、パートナーの携帯電話の画像をとっておいたり、メッセージ履歴を入手しておいたりといったことは無駄にはならないので、相手がクロだと思ったら、小さな証拠もコツコツと集めておくようにしましょう。