2010年ごろから「イクメン」という言葉が急激に流行りだし、そこから積極的に家事育児に参加する男性がかなり多くなりました。
世間では、イクメンであることは称賛に値するもので、とにかくポジティブな印象を持たれるものです。
しかし、最近ではそのイクメンが原因で夫婦仲が悪くなるという事案が発生しています。
イクメンがマイナス要素として働くとはどういうことなのでしょうか。そこで今回は、いき過ぎたイクメンは夫婦仲を壊すということについてお話していきたいと思います。
近年、男女平等が広く謳われている事からも、女性が男性に対して積極的な育児参加を求めていることは明白です。そして世の男性陣もその期待に応えようとしていることは事実です。しかし、一昔前の、「家事育児は女性の役割だ!」という時代から状況が大きく変わったことによって、これまでにあまり例を見ない夫婦トラブルが発生するようになりました。
まず、夫が積極的に家事や育児に参加するようになったことで、家で過ごすことの楽しさに気がつき、何より我が子と過ごすことが楽しくなり過ぎてしまうのです。ヒトが1日に与えられる時間は決まって24時間で、子供に100%の時間を割いていればその時間は妻に時間を割くことは当然できません。
妻とのコミュニケーションの時間が減ることによって、子供はどんどん夫に懐いていきますが、妻はどんどん遠い存在になってしまうわけです。
家庭内でも知らぬ間に関係が疎遠になってしまうことによって、夫婦間でこれまでは話し合えたようなことも、独りよがりや自分勝手なものになってしまいます。
しかしイクメン側からすれば、「イクメンは現代の理想の夫像だ」と流行語対処にノミネートするほど世間では過剰に持ち上げられ、家庭内の仕事に参加することに不満を持たれる意味がわかりません。こんなに協力しているのに何が不満なんだという理解不能な状態に陥ってしまうわけです。夫婦どちらとも、相手がなぜ不満なのかをわからないままズルズルと関係が続いていってしまいます。
小さな子供は毎日成長しているのがわかるほど、成長スピードが早いとは言いますが、やはり育児がほとんど不要になる程自立するにはかなりの年月が必要となります。
小さなすれ違いであっても、数ヶ月、数年かけて夫婦関係の溝が深まっていってしまうのです。
今回は、イクメンでありすぎることは夫婦関係を壊すといことについてお話してきました。
世間では褒められっぱなしのイクメンですが、育児という一つのことを極めすぎると、どこか別の部分に手が回らなくなるのは人間として言わば当たり前のことです。
だからといって、「育児に参加してやっているんだから、妻は文句を言うな!」という姿勢は絶対に正しくないことは理解しておいてください。
これらの問題を未然に防ぐには、やはり前もって夫婦間で家庭での役割をバランスよく決めておいて、どちらか一方に子育てが偏ることのないようにすべきです。
そして、言うまでもなく、片方の親と子の二人だけでなく、3人でのコミュニケーションの時間を確保することが一番大切です。「何事もやり過ぎるのではなく塩梅が大切だ」とは言いますが、子育てにおいてもこれは同じです。
「子育ては女性の役割だ・イクメンは正義」と、どちらか片方にフォーカスするのではなく、夫婦間でまずは「子育ては男女関係なく参加するものだ」という共通認識を大前提として持つことが大切なのではないでしょうか。